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焼肉屋の「ロース」と「カルビ」
もともと焼肉業界では長年の慣習として赤身肉全般を「ロース」、脂身がついた肉を「カルビ」と呼ぶ習慣がありました。それゆえ、少なくない焼肉店が実際にはロースの部位ではないもも肉やランプ肉も「ロース」として提供していました。なぜこのようなことになったのかというと、小売業では食肉小売品質基準で食肉の部位が定義されていて「ロース」と表示されているものはかたロースやリブロース、サーロインでなければならないと決められていましたが、その一方で外食業は対象外であり、焼肉業界では長年メニューは「ロース」と「カルビ」の2種類であり、メニューとしての名前は食肉の部位の定義とは必ずしも一致しないという認識が続いてきたからです。
しかし、2010年に消費者庁は肉の部位としての「ロース」ではないもも肉なども「ロース」とメニューで記すのは景品表示法違反の不当表示にあたるとして業界団体に表示の適正化を求めました。これは、ロース肉の卸値はもも肉はよりも3割以上高いため、「ロース」の高級なイメージでもも肉などが提供されるのは不適切と見られたからです。
こうして、「ロース」は部位としてのロース肉でなければならないということになりました。その一方で「カルビ」は食肉小売品質基準などで定められた部位の名前ではなかったため明確な決まりがないままとなりました。
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