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果物?野菜?その違い

記事Mar.20th, 2021
実はよく知らない果物と野菜の違いについて。

「果物」と「野菜」

「果物」と「野菜」の違い

一般的には甘く、生で食べることができる果実のことを「果物」と呼ぶことが多いです。また、副食として食べられるものを「野菜」として、デザートとして食べられるものを「果物」とする見方もあります。

普段「果物」として認識されるものにはリンゴやミカンなどがあり、果樹に実るこれらを「果物」と呼ぶのはとても自然です。その一方で、ウリ科のキュウリやかぼちゃなどは「野菜」なのにスイカやメロンは「果物」として扱われるなど、線引きがはっきりしないこともあります。

辞書を引くと「果物」は次のような意味とされています。

く‐だ‐もの【果‐物/菓=物】
木および草の実で、多汁でふつう甘味があり、食用になるもの。果実。水菓子。フルーツ。

大辞泉

また、「野菜」には次のような意味があります。

や‐さい【野菜】
食用とする植物の総称。青物 (あおもの) 。蔬菜 (そさい) 。

大辞泉

つまり、辞書に書いてあるままの意味であれば、「果物」と「野菜」のどちらでもある果実は意外と多く、これらがはっきりと二分できるものではないことがわかります。

植物学的な「果物」と「野菜」

植物学的には食用の草本性植物を「野菜」として扱い、木本性の植物の果実を「果物」と扱います。つまり、リンゴやミカンは「果物」ですが、イチゴ、スイカ、メロンは「野菜」に分類されます。また、トマトも「野菜」です。バナナも実は草本性の植物なのでこの分類では「野菜」ということになります。

農林水産省が分類する「果物」と「野菜」

農林水産省では田畑で栽培される加工の程度が低いまま副食物として利用される草本性の植物を「野菜」であるとしていて、2年以上に渡って栽培される草本性の植物や木に実る果樹は「果物」としています。つまりこの定義ではリンゴは「果物」ですが、スイカやメロン、イチゴなどは「野菜」として分類されます。バナナは草本性ですが、栽培期間が2年以上なので「果物」です。なお、トマトやイチゴは本来は多年生植物で2年以上栽培することができますが、日本では収穫を終えたら苗から植えなおすのが一般的なので「野菜」として扱われます。ちなみに一般的には「果物」として扱われない栗や梅も「果物」です。

とはいえ、イチゴやメロン、スイカは一般的には「果物」として認識されているので「果物的に利用される野菜」として「果実的野菜」と呼ばれています。

ほかの官庁での「果物」と「野菜」

文部科学省が策定している日本食品標準成分表や総務省の家計調査などでは「果物」として流通するのが一般的なイチゴやメロン、スイカは「果物」に分類しています。ちなみに日本食品標準成分表では「いも類」や「豆類」などと一般に「野菜」として扱われるものもより細かく分類されています。

「フルーツ」と「ベジタブル」

英語での「果物」と「野菜」

「フルーツ」と訳される果物ですが、英語の“fruits”も時と場合によって意味合いが異なります。

英語での“fruits”も通常は甘いか酸っぱく、生で食べることのできる植物の種が入った果肉、つまりリンゴやバナナ、オレンジなどのことを指します。また、“vegetables”は味のあるそれほど甘くない植物製品のことを指し、それに硬くて脂っぽく、殻をもったものは“nuts”と呼ばれます。

しかし、植物学での“fruits”は被子植物のその中に種子を含む構造のこと、つまり「果実」のことです。つまり、葉物野菜や根菜など以外のコーンやカボチャ、ナス、唐辛子、ピーナツ、コメなどもすべて植物学では“fruits”です。

一方で“vegetables”は植物学的な意味はありませんが、もともとの語意は植物の食べられる部分のことを差すので日本語の辞書での「野菜」の意味と同様です。つまり、一般に“fruits”や“nuts”と認識されるものも含めて花、果実、茎、葉、根、種が食べることができれば“vegetables”と呼ぶことができます。

裁判所が「トマトは野菜」と決める

アメリカではトマトが「フルーツ」なのか裁判所で争われたことがあります。

1886年にニューヨークへ到着した輸入トマトに10%の関税を課された商人がトマトは植物学的には“fruits”であるのと主張してトマトに課された関税は返還されるべきだとして訴訟を起こしました。なぜこのようなことが起きたかというと、1883年に成立した関税法で“vegetables”に関税をかける一方で“fruits”はそれが免除されていたからです。

1892年にこの訴訟は合衆国最高裁判所に至り、辞書が証拠として提示され、商人を証人として審議が行われ、“fruits”と“vegetables”が商業や交易で辞書から読み取られるもの以上の特別な意味合いを持つのかが議論されました。

翌年、合衆国最高裁判所は辞書では“fruits”を植物のその中に種子を含む構造のこととしているが、この定義はトマトが“fruits”であって“vegetables”ではないと区別できるものではないとして全会一致で税関法規の中でトマトは“vegetables”に分類されると結論付けました。また、裁判所は植物学的には“fruits”であることを認めつつも、デザートではなく主料理として食べられるトマトは一般的に“vegetables”と認識されているとも付け加えました。

ちなみに2011年には学校給食に対する助成金を設けたときに「一定量の野菜を含めること」という条件を付けましたが、この時に「一定量の野菜」の定義について議論された結果、トマトソースを大さじ2杯含んだ料理は野菜として良いことになり、トマトソースがかかったピザは「野菜」であるということになりました。

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